巽豊彦先生生誕百周年記念シンポジウム

秋晴れの日曜日、上智大学に行ってきました。
シンポジウムとは関係ないんですが、日曜日の聖イグナチオ教会は信者さんたちですごく賑わっているんですね。あまり日曜に行くことがなかったので初めて見た賑わいに驚きました。
でも、上智大学(短大も含めて)へ行くと、信仰ということについて少しだけ考えます。
他のミッション系大学には行ったことがないので比較はできないんですが、入学した時から、この大学は学ぶということと信仰するということがほぼ同じ比重で存在しているんだなと思っていました。教授陣にも聖職者が多いし、学友の中にも信仰のあつい人が多かったんです。
私自身はキリスト教を信仰していませんが、学内のそういった雰囲気は嫌いではなかったです。
実は今年は学園祭にも行ったんですが、その時にはあまり感じなかった、学びつつ信仰するという空気が、今日のシンポジウムには感じられました。
 
ピーター・ミルワード名誉教授というと、あっ、英文法やらなきゃ、と背筋が伸びる感じがしますが(上智で英語を学ぶ人の性みたいなものかも)、91歳になられたミルワード先生は駄洒落好きな素敵なおじいちゃまでした。英文科生以外ではあまり直に接する機会のないミルワード先生に初めてお近くでお会いすることができて光栄でした。
 
巽豊彦先生は退任された後も卒業生が結成した英文学の読書会を指導されていて、その時の読書リストや詩のリスト、先生が予習用に作られたノートなどが公開されました。
私は巽先生の本格的な英文学の講義を受けて、「これは私には無理だわ」と悟って英文学からは距離をおくことにしたんですが、あの時に他の先生からもっと易しい授業を受けて「これなら私にもできる」なんて思い上がることがなくて本当によかったと今は思っています。
読書会(巽ゼミとして活動していたそうです)の資料を拝見して、今なら英文学の重みに押しつぶされないで少しは持ちこたえられるかも?と一瞬だけ思ったんですが…
 
image

現地で購入した巽先生の遺稿集をめくり、本の半分近くを占める「イギリス文学の紳士像」という英文学研究の章を流し読みしただけで「あっ、やっぱ無理」となってしまいました。やっぱり深いもん、イギリス文学。

あ、文3で英文学をされる方、この章はとても勉強になると思いますよ!ぜひお読みくださいませ。ちなみに序章として掲載されている「英文学への招待」がとてつもない名文ですのでこちらもおすすめです。この項は上智大学英文科の新入生向けに書かれたものだそうです。

 

巽先生(ご子息)の奥様が作られたスライドの中で、豊彦先生のご存命の頃の動画が拝見できたのが嬉しかったです。私が教えていただいていた頃よりもお年を召されていましたけど、声や口調は昔のままで、すごく懐かしい気持ちで拝見しました。

そしてそして、巽先生は終始穏やかで絶対怒ったりしない方だったんですが、確かに!授業中にちょっとブラックなコメントをされることがありました。そういう横顔が思い出せて、今回出席できてよかったな〜と思っています。