言語学コロキアム

昨日と今日の2日間にわたって、慶應義塾大学言語文化研究所主催の言語学コロキアムに参加してきました。

「コロキアム」というのは「学究的セミナー」とか「討論会」という意味(weblio辞書より)のようですが、私としては、講師の先生をお迎えしてありがたい講演をお聞きする催しなんだろう…くらいに思っていました。

甘かった…。

北校舎3階の大会議室に集まったメンバーは、ちゃんとは数えていませんが20人もいなかったと思います。

一人一人の研究バックグラウンドを含めた自己紹介から始まり、「講義の間いつでも質問や意見を出してください」と促され、実際にリアルタイムで現役バリバリ第一線の言語学者たちがトークバトルをするという、ガチの言語学勉強会でした…。

今回のお題は「ドイツ語学と生成統語論」です。

統語論というのは、言語学の一分野で、文章の構成についてパーツごとに理論を深めながら構造を明らかにしていく、みたいなもの…だと理解しています。これに「生成」がつくということは、基本に「生成文法」があるということで、生成文法にしても統語論にしても、私はまだ到底皆さんにここでご説明できるまでの理解に至っていませんので(毎回こればっかりですが)とりあえずWikiとか見ておいてください。

ここでは、「ドイツ語の語順や構文についてやりますけど、ドイツ語の文法に関する専門的な知識は必要ありません」ということだったので、安心?して参加したのですが。

甘かった…。

ドイツ語はともかく、言語学の基礎知識くらいは必要でした。

とにかく、配布された資料に見たこともない文字列(ドイツ語以外で、ですよ)が羅列されていて、私はとんでもないところに徒手空拳できてしまった…と最初の10分間はひたすら後悔していました。

ちなみにこんな感じ。

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でも、講師の稲葉先生(東京大学)のお話は、ドイツ語を本格的には勉強していない人にも、言語学を専門に研究していない人にもとてもわかりやすくて、初出の用語も一つ一つ噛み砕いて説明してくださるので、終わる頃にはほんの少しだけ統語論で探る文章の仕組みの端っこくらいは見えてくるようになっていました。

例文に使われているドイツ語も、わりと知っている単語が多かったのでとっつきやすかったし、語順がいろいろ変わることも実感として知っていたので、ちゃんと理解できたとは言えないまでも、「こういう現象が起きているんだな」ととらえるところくらいまでは到達できたかな、と思っています。

全くのど素人なので本来遠慮すべきだったのかと思いますが、図々しく初日夜の食事会にも参加してしまい、慶應の北原先生のお近くにちゃっかり陣取って、「最近言語哲学に興味があるんです」と白状したところ、「この本は読んでおくといいですよ」とお勧めの本を何冊か教えていただくことができたし、行ってよかったなぁ。通信の学生でも分け隔てなく接してくださってありがたかったです。

言語学には本当に興味があるので、今後も時間が許す限りこういう集まりには参加していこうと思っています。カリキュラムにはないので、ある程度は独学しなきゃいけないだろうけど。

自分の強みって、こういう高いハードルでもあんまり怖気づかないし、未知の単語や謎の用語がバンバン出てくる講義でもビビらずに最後まで聞こうとする精神力?があるところかなぁなんてちょっと思いました。実際、初日の開始直後で諦めて帰るという手もあったと思うんですが、めげずに2日間参加して得るものがすごく多かったですし。体力的にはきつかったけど。

とはいえ、ただビビらないだけではダメで、足りてない知識は後できっちり補完しないと成長できないですよね。言語学の知識は引き続き蓄えていこうと心に決めました。

言語学コロキアムは事前の参加申請も不要だし、所属も別に大学でなくていいんですが、慶應の学生として参加できたのもよかったです。

北校舎に初めて行ったから一瞬迷子になったけど。